2016-12

    留学にTOEFLが必要というウソ。知らないと後悔するIELTS

    留学するためには試験を受けて自分の語学力が十分であることを証明しなければなりません。 そこでよく名前があがるのがTOEFL。留学する人にとっては切っても切れない必須のテスト……だと思ってませんか。それ誤解です。


    TOEFL義務化で留学増?

    TOEFL。読み方はトーフル。TOEFLがどのような試験か皆さんはご存知でしょうか。
    TOEFLとはTest of English as a Foreign languageの略。「外国語として学ぶ英語の試験」、つまり留学生の英語力を測る試験です。試験内容もアカデミックなトピックに沿って展開されています。 開発・運営は、Educational Testing Serviceというアメリカの非営利テスト開発機関。
    最近だと、「大学入試にTOEFL義務付けを」 とのニュースで話題になりました。この政策に関しては、賛否両論様々な意見が飛び交っています

    USA.jpg

    日本の大学入試にTOEFLを課すことには様々な目的があるのでしょうが、主な目的のひとつは「留学できる英語力を身に付かせる」ことでしょう。なぜならTOEFLとは「留学に必要な英語力」を試すテストだからです。それゆえ、留学生を増やすためにTOEFLを導入すべきという意見をよく聞きます。

    インターネットを使った国民投票サイト「ゼゼヒヒ」でも、「大学入試へのTOEFL導入、あなたは賛成ですか?」というテーマに対して、賛成の立場から次のような意見が見られます。
    「どれだけの人間が社会に出て英語を活用しているのか?使える英語を身につけさせるにはグローバルスタンダードを導入してもいい頃だ。」
    「既に標準的な評価軸が存在しているのだから、それを流用したらいいじゃない。」
    留学を促進する効果が大きいと思われる。留学を奨励する政策と整合的。」

    「TOEFLはグローバルスタンダードの試験」で、「高校生の頃からTOEFLを勉強していれば、大学に入ってから留学しやすくなる」と考えている人が多いようです。だとすれば、留学の実態が知られていません

    僕はいま大学院留学を目前に控えています。1ヶ月後にはイギリスで学校に通っています。しかし、イギリスの大学院に留学する僕でもTOEFLを受けたことはありません。より正確に言えばTOEFL iBTを受けたことはなく、代わりにIELTSを受験しました。


    IELTSとはなんぞや

    IELTSとは何か。読み方はアイエルツ。International English Language Testing Systemの略。「国際英語テストシステム」、つまりこれも留学生の英語力を測る試験です。TOEFLと同じくListening, Reading, Writing, Speakingの四技能を試験します。やはり学術的なトピックや、留学生活を想定した問題がベースとなっています(ただしIELTSには学術的な問題中心のAcademic版だけでなく、より一般的な社会・教育環境向けの英語力を測るGeneral Training版もあります)。
    IELTSとサボテン

    なぜそんなにTOEFLと似たような試験があるのか。何故ならそれぞれの試験を運営する母体が異なるためです。TOEFLはアメリカで、IELTSはイギリス・オーストラリアで作られました。


    グローバルスタンダードはTOEFLだけじゃない

    英語で教育を行っている大学の多くは、TOEFL・IELTSのどちらか、あるいは両方で一定の得点を入学の要件として課しています。TOEFLはアメリカで主流、IELTSはイギリスで主流の試験ですが、TOEFL・IELTSともに、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドなど世界各国の大学で認められています


    IELTSのほうが簡単でお得?

    個人的な感覚としては、IELTSのほうがずっと簡単です。なぜなら日本人が苦手とするスピーキングが対人で行われ、問題も簡単だからです。一般的に留学に使われるTOEFLは、TOEFL iBTといって、インターネット形式で受ける試験です。つまりスピーキングもパソコンに向かってやります。僕も実際にTOEFLのスピーキングの問題に挑戦したことがあるのですが非常にやりにくく感じました。また、TOEFLのほうがIELTSより試験時間が長いです。

    スコアの設定にも注意しなければなりません。一般的なスコア換算表は次の通り。
    Comparison chart
    ETSサイトより引用

    しかし、これは世界共通の換算表ではありません。
    大学によって定めているスコアが異なります。

    例えば、イギリスのLeeds UniversityとNewcastle University、ふたつの大学の修士プログラムの必要スコアを見てみましょう。
    University of Leeds, (MA) International Journalismの場合
    IELTS 6.5  TOEFL 94
    Newcastle University, (MA) International Multimedia Journalismの場合
    IELTS 6.5  TOEFL 90

    つまり両大学ともIELTSで6.5必要なのですが、TOEFLだと、Leedsでは94、Newcastleでは90のスコアが求められます。NewcastleであればTOEFLで求められるスコアはIELTSと見合うようになっているようですが、LeedsではTOEFLの方がスコアが厳しく定められており、おそらくIELTSを受験したほうがスコアの取得は容易でしょう。つまり、厳密なスコア換算が決まってない為に、大学によってはIELTSを受験した方が楽に必要スコアを獲得できるのです

    「留学するならまずTOEFL」という間違い

    もちろんTOEFLは世界的に認められた英語力を測る試験です。しかし、それが全てではないというのが現実です。IELTSのスコアで出願できる大学は多いし、IELTSのほうが簡単に必要スコアを達成できる場合もよくあります。もし留学、特にイギリス留学を考えている人がいれば、IELTSのことをよく調べてほしいです。留学を目指す場合、とりあえずTOEFLの勉強を始めるのではなく、それよりも留学にどういう選択肢があって、自分が受けるべき試験が何かを見極めるほうが先です。英語力を示す点数は、留学の合否判定に際して非常に重要なものです。それをまるでTOEFLがただ一つ世界に認められた試験なのだと言ってしまうのは、留学の芽を摘んでしまう恐れがあります。
    トーフルかアイエルツか



    英語教育・留学を論じるなら

    教育政策の議論をもっと丁寧にやってほしいと思います。政治家や行政官はもちろんだし、ぼくたち一市民も政策に関して真剣に考えたい。仮に英語の資格試験を大学入試に義務づけるならば、TOEFLだけではなくIELTSも選択肢に必要です。せめてIELTSを選択肢として入れることについて議論されるべきです。
    個人的な意見としては、そもそも語学力のことは個人の努力に任せ、政府としては奨学金を充実させた方が留学推進には効果的だと思います。TOEFLやIELTSは一般的な日本の高校生には難しすぎるし、英語力を測る試験くらい国が独自に大学入試に最適なものをつくってほしい。それか各大学に試験をつくってもらえばいい。
    語学習得はもちろん教育制度が整えられることが重要ですが、けっきょく個人が本気で勉強しなければ習得できません。また、英語圏以外にもたくさん留学先はある。中国語や韓国語を学んで留学する人が増えることだって歓迎されてよいでしょう。それならば、英語の資格試験を義務化するのはいかがなものか、と思います。


    と、最後は政策論のようなものを論じたりもしましたが、1番言いたいのは世の中TOEFLが全てじゃないよっていう話です。生活の中で使える実用的な英語の勉強はもちろん大事なのですが、こと留学に備える観点では、試験勉強という一面もあります。効率的な試験対策をするためには、むやみにTOEFL対策から始めるのではなく、どんな試験が受けられて必要なスコアがどう定められているかを調べましょう。


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    プロフィール

    Akira Oda

    Author:Akira Oda
    尾田章
    2013年9月よりカーディフ大学インターナショナル・ジャーナリズム修士課程(Cardiff University, MA International Journalism)に在籍。
    関心:データジャーナリズム、ドキュメンタリー、写真、計量政治学、英語学習、オーケストラなど
    Email: OdaAあっとcardiff.ac.uk ("あっと"を@に変えてご連絡ください)





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