2016-12

    ドキュメンタリーつくりました Buskers in Cardiff

    ドキュメンタリーを作りました。

    Buskers in Cardiff

    カーディフに暮らす路上ミュージシャンたちを取材しました。
    日本語の字幕をつけたのでパソコンでご覧の方は画面右下のキャプションから設定してご覧ください(スマホだと字幕付きで見られるのかよくわからないです)。

    大学院でドキュメンタリーを作るクラスをとっています。
    1学期にふたつ3分の番組を作ったので、これは課題としては3つ目の作品です。
    今回の課題は4分の番組を作ることでテーマは基本的に自由。
    ただしこの後8分のCurrent Affairの番組を作る予定なので、Current Affair以外のドキュメンタリーを作ることが条件でした。

    一応オーディエンスはウェールズ人を想定して作ったのですが、日本人でも楽しんでもらえるのではないかと淡く期待しています。感想などよろしければお聞かせください。


    作ってみて色々と考えることがあったので、以下に反省点をつらつらと書いておきます。
    長いし、文体もここまでと違うのですが、記録として残しておきます。


    ーーーーーーーーーー

    Buskers in Caridff 制作後の感想

    企画を考えて、リサーチして、アポイントメントを取って、インタビューして、撮影、そして編集する。これらのすべてを自分ひとりで担当した。これまでのドキュメンタリーは、ふたりでペアを組んで企画を考えたり撮影していた(編集は別々にしていた)ので、完全にオリジナルの作品はこれが初めてだ。
    今回の作品は作り終えてみてなんだか反省ばかりが頭をよぎる。内容が未熟とはいえ、たぶんこれまでの作品のなかでは一番良い出来だと思う。それでも「もっとこうしたかった」という悔しい思いが残るのは、作品に対する愛着がこれまで以上に強かったからかもしれない。

    今回のドキュメンタリーは比較的自由にテーマを決められることもあって、新しいことにチャレンジしようと思った。目標は、少しでもアーティスティックな作品にすること。テレビのニュースに出てくるような淡々と事実を伝えるだけの番組にするのではなく、視聴者が「美しい」、「格好いい」と感じたり、どこかで自然と笑いがこみあげるようなシーンを演出しようと思った。

    そのために音楽をつかうことを決めた。音楽は無闇に入れると過剰な演出になってしまうので、効果的に扱うためにどうしようか悩んだ。当初の企画案ではもっと多様なミュージシャンたちの音楽を組み合わせて、それに合わせてストーリーが流れるように進むようにしようと思っていた。でも複数のミュージシャンたちの音楽をひとつのドキュメンタリーにまとめるのは難しかった。結局ひとりの人物を中心に構成をつくってそれを他の人たちのシーンで肉づけしていく形になった。

    仕事のクオリティは細部に宿ると痛感する。今回は番組の中に、三脚を使わず手持ちで撮影した映像を多用した。なかにはピントが合っていなかったり、ぶれている映像もあった。それでも使う価値があると判断したのだが、やはり素人っぽさが気になる。「美しさ」を演出するには、ほど遠い。Evanの演奏シーンをもっと格好よく描きたかったし、もっと音楽によってストーリーを前に進めるような構成にしたかった。

    そして、何よりも大事なのはジャーナリズムとしての質だろう。ぼくのドキュメンタリーはジャーナリズムなのだろうか。もう少し議論しやすい言葉にすると、ニューズバリューはどこにあるのだろうか。
    ストリートミュージシャンたちの生活は、その街に住む人々がどういった人たちなのかと密接に関係する。人々の理解、支えなしには彼らは生活できない。ぼくはミュージシャンが街中で自由に演奏しているのは素敵なことだと思う。でも一方でそんなこと気にしない人もいるだろうし、むしろそれを迷惑に感じる人もいるだろう。だからカーディフでも規制の動きが進んでいる。この問題をドキュメンタリーでは十分に描ききれなかったと反省している。ミュージシャンたちの音楽がうるさいと言われ、演奏できる場所や時間に制限がかけられようとしているのだ。サックス奏者のHarryと彼の演奏仲間のギタリストBusterは、より自由に演奏できるよう請願書を議会に出したばかりだ。だからこそ彼らと仲の良いEvanもその問題について言及したように思う。路上での演奏は公的に厳格なルールを決めてその範囲内で行われるべきなのか。それともそこに暮らす人々の暗黙の了解、演奏者のマナーにまかせるべきなのか。これがぼくがジャーナリストとしてより明確に迫るべき問題だったのかもしれない。
    一般的にはカーディフの人たちはとても陽気で優しく気前がいい。最近は規制がかけられるようになったが、それでもやはりカーディフは路上ミュージシャンたちに愛される街だ。ぼくはそんなカーディフの人たちが好きだしそれが続いてほしい。そんなことを思いながらこの番組をつくった。しかし、そのために恣意的な番組構成にしてしまったのかもれない。路上演奏を騒音に感じて困っている人もどこかにはいるはずだが、ぼくの番組にはそういった人は出てこない。議会や役所にインタビューをしたわけでもない。もっと異なる描き方ができなかっただろうか。今でも悩んでいる。

    言い訳をすると、今回の課題はCurrent Affair以外のテーマで4分の番組を作るというのが条件だった。Current Affair、つまり現代社会が抱える政治的な問題を取り上げてそれに迫るような番組にはしないということだ。だからこのドキュメンタリーをつくるにあたっても、最近の議会による規制とそれに対応するミュージシャンたちという構図に重点を置くのは避けた。路上で演奏するとはどういうことなのか。なぜ彼らは路上で演奏し、どういうときに困難を感じて、どういうときに嬉しいと思うのか。これらのことを伝えるなかで、規制の問題にも言及できればと考えた。

    また、ぼくは演奏者たちだけにフォーカスした方が、ストーリーがシンプルで明確になると思った。彼らの視点を軸にウェールズの人々を描けたら面白いのではないか。彼らは路上で色々な人と交流するからだ。 彼らはきっと人間観察に長けている。 編集でカットしたが、昼間から酔っぱらった若い男性ふたりが演奏に加わって好き放題歌っていくという場面もあった。着ぐるみを来た人が音楽に合わせて踊ることもあった。路上ミュージシャンたちは、実にたくさんの人と出会っている。彼らにカーディフの人々の印象を聞いたら面白い言葉が返ってきそうだ。そんな期待を胸に企画書を書いて、今回のドキュメンタリー制作にとりかかった。そのねらいはいくらか当っていたと思う。

    また、取材を許可してもらえなかったのだが、路上演奏者の中にはルーマニア出身のアコーディオン奏者たちが多くいる(アコーディオンはとても絵になるし、音楽がより多様になるので撮影できなかったのが本当に残念)。彼らはあまり英語が得意ではないので取材が難しいが、なぜイギリスに移り住んで音楽をしているのかというのも興味深い点だ。ぼくのドキュメンタリーに少し出てくるギタリストのおじさんはハンガリー出身だし、Evanはスコットランド出身、サックス奏者のHarryはイングランド出身で、多様なバックグラウンドの人たちが集まっている。カーディフとはそういう街でもある。

    色々反省はあるけれど、この番組を見た人は、新しく何かを知ったり、学んだりできただろうか。面白いと思ってくれただろうか。もし何かの形でこのドキュメンタリーが人の役に立っていればこれほど嬉しいことはない。


    ● COMMENT ●

    面白かったです。
    このギター演者である彼は、路上で演奏している以外では
    何をしているのか、何を食べているのか?気になりました。
    彼の生活の中での演奏のウェイトが見えなかったのがなんだな物足りなかったです。
    肝心なジャーナリズムからは離れてしまうことになりますが、
    もう少し、踏み込んだら面白かったかなと!


    それにしても、尾田さんの急成長に驚くばかりです。
    写真も上手なのに今度は映像だなんて(´・_・`)

    To どばしさん
    感想ありがとう!
    たしかにもっと彼の生活にフォーカスしてストーリーを組み立てても良かったと思います。
    僕は複数のミュージシャンの視点を出来るだけ取り入れながら話を展開しようと思ったのだけど、4分の尺なら完全に彼ひとりだけにフォーカスしたほうが良い番組になったかもしれないです。うん、反省ですね。

    学生のうちに幅広く学んでみたいと思ってドキュメンタリー制作のクラスをとってみました。
    まだまだ写真も動画も未熟だけれど新しいことを勉強するのは楽しいね。
    写真が得意な人は動画を撮っても上手いと思うよ。
    音声の有無という違いはあるけど、映像の基本はほとんど一緒じゃないかな。


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    プロフィール

    Akira Oda

    Author:Akira Oda
    尾田章
    2013年9月よりカーディフ大学インターナショナル・ジャーナリズム修士課程(Cardiff University, MA International Journalism)に在籍。
    関心:データジャーナリズム、ドキュメンタリー、写真、計量政治学、英語学習、オーケストラなど
    Email: OdaAあっとcardiff.ac.uk ("あっと"を@に変えてご連絡ください)





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