2016-12

    世界のトップスターたちが教えるデータジャーナリズム講座が始まった

    5月19日からデータジャーナリズムを学べる無料オンライン講座Doing Journalism with Data が始まりました。
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    画像:datajournalismcourse.netと上記オンライン講座ウェブページの講師の写真より

    最近話題になることが多くなったデータジャーナリズム。先日、MITメディアラボ所長の伊藤穰一氏が具体例を挙げながらデータジャーナリズムについて詳細に語ったこともあり注目を浴びています(伊藤氏の講演詳細はこちら)。
    しかし、日本ではデータジャーナリズムはまだまだ始まったばかり。メディア関係者にとっては興味があっても自分たちの仕事の現場でどう実践するかについてはまだ手探りの段階といったところではないでしょうか。そんな方たちに朗報なのが、5週間にわたって行われるこのオンライン講座。

    この講座の使用言語は基本的に英語ですが、講義の動画には他言語の字幕が用意されており日本語字幕もあります(つたない翻訳ですが筆者が日本語字幕を制作しております)。また日本人の学習グループをFacebookで作りましたので興味のある方はぜひご参加ください。

    このオンライン講座の主催は非営利団体のヨーロッパ・ジャーナリズムセンター。これまで精力的にデータジャーナリズムの促進を担ってきた団体です。データジャーナリズムの教科書「データジャーナリズム・ハンドブック」もこの団体とオープンナレッジファンデーションを中心にまとめられました。

    全5週間におよぶこのコース。1週間ごとに異なる講師から、データジャーナリズムにおける重要な概念や、報道の現場での実践方法を学ぶことができます。講師陣はいずれもこの分野で有名な専門家たちです。

    第1週を担当するのはサイモン・ロジャース氏。現在米ツイッター社でデータエディターを務め、以前は英紙ガーディアンで働き「データブログ」を立ち上げたデータジャーナリズムの第一人者です。そもそもデータジャーナリズムとは何か、どのような手順で進められるものなのか。豊富な実践経験を活かしてその知見を伝えてくれます。彼の口からデータジャーナリズムに関する格言が次々と出てきます。

    第2週の講師は、イギリスのバーミンガムシティ大学でデータジャーナリズム教育に携わるポール・ブラッドショウ氏。データジャーナリズム実践のための本も多数書いています。以前彼の大学に訪れデータジャーナリズムについて話を伺ったことがあるのですが、「データジャーナリズムはジャーナリズムでなければならない」と小手先の技術にとらわれずジャーナリズムの根幹を見失わないよう語ってくれたことをよく覚えています。忙しい合間をぬって学生の相談に乗ってくれる良きジャーナリズム教育者です。このコースではデータの探し方について教えてくれます。

    books simon and paul
    写真:左はサイモン・ロジャース著「Facts are Sacred」、右はポール・ブラッドショウ著「The Online Journalism Handbook」

    第3週は、ピューリッツァー賞の受賞歴があるスティーブ・ドイグ氏。アリゾナ州立大学の教授です。ハリケーンの家屋被害の傾向からずさんな建築習慣の問題を指摘した”What Went Wrong”で1993年にピュリツァー賞を受賞されました。彼は表計算ソフトの扱いを多くのジャーナリストに教えており、今回も数学におびえる文系ジャーナリストたちに統計の手ほどきをしてくれます。

    第4週は、ニコラス・カイザーブリル氏が乱雑なデータの扱い方について教えてくれます。彼はデータジャーナリズム・ウェブサイト「Journalism++」を運営しています。このサイトは最近リニューアルされたばかり。彼はパソコンでデータを処理する際のテクニックを教えてくれます。この分野をジャーナリズムの文脈から学べる機会は希少ではないでしょうか。

    最後の第5週は、デザイン・ビジュアルについて。アルベルト・カイロ氏(マイアミ大学コミュニケーションスクール講師)が担当。インフォグラフィクスやインタラクティブなデータビジュアライゼーションについて学べます。アルベルトさんはこれまで、テキサス大学ナイトセンターが主催したデータジャーナリズムMOOC(大規模公開オンライン講座)でも同様の講義を担当されてこられました。個人的な印象では分かりやすい英語をしゃべる方で、国際的な環境の中における教育に慣れていらっしゃる方だと思いました。ブログ「The Functional Art」も面白いです。

    最初の1週間が終わろうとしていますが、まだ受講登録できます(こちらからどうぞ)。

    また冒頭や過去記事にも書きましたが、私はこのオンライン講座の日本語字幕を制作しています。現在第1週の動画は、日本語字幕付きでご覧になれます。データジャーナリズムの教材や学習機会の多くは英語で提供されますが、今回は稚拙ながらも日本語の字幕とともに学ぶことができます。

    第2週以降の字幕も、新たな翻訳協力者を得て鋭意製作中です。もし日本語字幕の制作に協力してくださる方がいらっしゃいましたら、私のメールアドレスakira.oda.1031あっとgmail(あっとを”@“に置き換えてください)にご連絡いただけますと幸いです。

    また日本語で勉強するためのFacebookグループも作りました。第1週の講師であるサイモンさんがおっしゃっているのですが、データジャーナリズムは「友だちをつくること」でもあります。ひとりでも実践は出来ますが、様々な専門能力をもつ仲間をつくることでより多様なデータジャーナリズムを行えます。ぜひこういった機会を利用して仲間を増やしましょう。
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    画像:昨年ナイトセンターが開いたデータジャーナリズムMOOCを受講した際の修了書。このときも日本語学習者のFacebookグループで他の受講生と共に学んだ。

    また、英語でのディスカッションでは日本の文脈について言及するのが難しくもあります。個人の英語力にも左右されますし、日本語で書かれた具体例について言及しても議論が発展しにくいという問題もあります。日本人どうしで議論できる場を設けたいと思いました。

    このオンライン講座は修了すると証書をもらうことができます。その条件は最終試験で70%以上の得点をとること。一緒に学んで修了書の取得を目指しませんか?


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    プロフィール

    Akira Oda

    Author:Akira Oda
    尾田章
    2013年9月よりカーディフ大学インターナショナル・ジャーナリズム修士課程(Cardiff University, MA International Journalism)に在籍。
    関心:データジャーナリズム、ドキュメンタリー、写真、計量政治学、英語学習、オーケストラなど
    Email: OdaAあっとcardiff.ac.uk ("あっと"を@に変えてご連絡ください)





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